コラム

自分は言うことを聞いてくれない

 よく、部下や取引先に対して、「なかなか、言うこと聞いてくれないんだよなぁ」とぼやく場面って、あると思いませんか? そんなに難しくないし、普通はやってくれるものだし、と思いながらお願いしても、なかなか思うように人は動いてくれないものです。 では、ご自身はどうでしょうか? 自分の思うように動いてくれてますか?

 もちろん、右手を上げてと思えば、右手を上げることはできるし、歩けと言われれば、歩けると思います。 ここではそういうことを言っているのではなくて、今日はまっすぐ帰って勉強しようと思っていても、ついつい一杯飲んで帰ってしまったり、ジョギングをやろうと決意しても三日坊主になってしまうようなことを言っています。 そんな経験は、おそらく山ほどあると思います。 私ももちろん数えきれないほどあります(笑)  今回はそれを克服する方法をお話しするのではなくて、人間とはそういうものだということを理解することを書いてみたいと思います。

 他人は言うことを聞かないけど、自分は自分の意志で動けると、なんとなく思っているかと思う人も多いかもしれません。 しかし、実際はそうでもないことは皆さん自信が一番よくわかっていることかと思います。 もし、自分が自分の意思を100%実行することができれば、現在の自分はどのようなものになっていたか想像できますか? おそらく、現在、理想としていたり、憧れている人に限りなく近づいているのではないでしょうか? だからこそ、セルフコントロールはとても重要だともいえるし、その反面難しいとも言えます。 私は以前より、自分の中にはもう一人の自分がいると思っています。 理想や理性を持って活動する”ホワイト自分”と、本能と身体欲求を重んじる”ブラック自分”がいて、いつも喧嘩をしていると想像しているのです。 それは、活動だけではありません。 考えていることもその二つは常に存在して、相対しているのです。 早く仕事を終わらせたいと思っていると同時に少しゆっくりしたいと思っているというようなことです。 カウンセリングで、いろいろな方のお話を聞いていると、ご自身のことを聞いているのに、考え込んでしまうことは少なくありません。 それほど自分自身というのはわからないものなのです。

 今回言いたいのは、自分自身は自分がよくわかっているし、自分は考えた通りに動くという幻想をいったん捨てみるということです。 もちろん、他人よりもよくわかっているし、他人よりも思った通りに動いてはくれます。 しかし、あなた自身が、思い通りに自分をコントロールできないことはもうわかっていただけたと思います。  通常は”自分”と思っているのは”ホワイト自分”ですが、行動は”ブラック自分”が支配することが多いです。 つまり、ホワイトとブラックでは、ブラックのほうが強いのです。 この力関係はある程度ホワイトの意志で改善はできますが、限界があります。 その限界のバランスポイントが「今の自分」です。 もし、まだまだブラック自分が支配的と思っている方は、このままホワイト自分にまかせても結果は好転しない可能性が高いのです。 ブラック自分はとてつもなく創造能力と説得能力が高いです。 ダイエットしているホワイト自分に、「今日は仕事頑張ったよね。 このケーキは本日限定で二度と食べられないかもしれない。偶然にも1つだけまだ残っているよね。今日は忙しかったからいつもよりカロリー消費してるよね。 だから自分へのご褒美と思って食べてみない?」とブラック自分は語りかけてくるのです。 

 ホワイトがブラックに勝つ方法について、今回は詳しく語りませんが、それを何とかする方法の基本は、”外部”に頼るです。 たとえば、環境を強制的に変えるとか、コンサルティングやコーチングなど他人に頼ったりすることです。 いちど、ブラック自分の存在とホワイト自分の存在を見つめなおしてみてはいかがでしょう?  おっと、結局ブラック自分に負けて、宣伝してしまった。。。