ポートフォリオワーカーという言葉をあるコラムで読んだ。 意味は複数の仕事を同時に持ち、一つの会社とか自営業のみとかではなく、そういったものを同時並行でこなしていく人たちのことを指すそうだ。 例えば、独立起業を目指す人がいるとする。 その場合は、多少のラップ期間はあるにせよ、会社をまず辞めて、それから起業するというのがふつうである。 ポートフォリオワーカー的にこの例を考えると、会社の業務量を1/3にして、2/3を自分の会社に充てるみたいな働き方だ。 もっと一般的な言葉でいえば、副業や兼業となるのだろうが、あえてこの言葉を使っているのは、少し意味合いが違うからだ。
株式などで、ポートフォリオという意味は持っている資産の多様性みたいな意味になると思うが、その根幹の目的は「リスク分散」である。 つまり、どれかがこけても、どれかがそれを補うという考えのもと、資産に多様性を持たせているのだ。 「卵は一つのかごに盛るな」ということである。 この意味合いからすると、収入源を複数持って最大化するというよりも、どの仕事がうまくいかなくなっても、他のもので対応できるという意味合いの方が大きいようだ。 そしてそれは、ある断面だけではなく、将来的に環境が変化しても、柔軟に対応していける強みを持つということになる。
実をいう私もまったく同じことを考えていて、可能な限り、複数の収入源を持つことを目指している。そして、それは株式のそれと同じく、出来る限り分野や形態の違った収入源であることが望ましく、それぞれの分野での業績に相関性が低いことが重要となる。 そうすることで、より変化する環境に柔軟に対応できるということになる。 創業間もない収入の安定しない時期は、どこかの会社に属してお給料を安定的にもらうのは恥ずかしいことではない。 より変化への対応力が高まり、起業へのリスクも大きくとれる。
大谷選手は今シーズンは本塁打と盗塁で絶好調のようだが、もし彼が投手に専念していたとすると、今年は話題にすら上らず、本人も手術後のリハビリに専念するしかなかっただろう。 まぁ、彼のポートフォリオは誰にでも出来ることではないが、トミージョーンズ手術をした選手が、次の年から大活躍できた初めての選手になれたのは、仕事の分散化、兼業化が出来て、リスク分散できた結果に他ならない。
ただ、そういった兼業、ポートフォリオワーカーにも重要なことが一つある。それは、自分がやるべきミッションを明確にし、それに沿ったものに限定すべきと言ことだ。 そうでなければ、単にお金が目的となってしまい、兼業の相乗効果が薄れてしまうからだ。 野球選手で、不動産投資などをする人もいるが、あまりうまくいっていないと聞く。 自分の仕事に対するミッションは大切にしたいと思っている。