コラム

働かないおじさん

 「働かないおじさん」という中高年社員がいるのはご存じかと思います。 外出ばかりしているが、数字を取ってこない”おじさん”や、自分では何一つ手は動かさないが、批判だけはする”おじさん”を指したりするのですが、働かないおじさんはいつごろから存在したのかを思い出してみました。 今から20年くらい前のことでしょうか? パソコンが社員全員に配られることが当たり前になり、業務中にネットサーフィンや掲示板などに書き込んだりできるようになったころ、やはり同じように、同僚たちが、あの人は一体何をやっているのだろうと、不満を漏らしていたことを思い出しました。 もっと前でいえば、職場にあった”たばこ部屋”と呼ばれる喫煙エリアに入り浸っているおじさんとかも存在していたことを思い出しました。そうなんです、昔から「働かないおじさん」って存在してたのです。 ここから先は推測ですが、いつの時代にもやはり、生産性の落ちた中高年社員は存在したのではないかと思うのです。 ということは、今「働かないおじさん」と不満を漏らしている2,30代の社員もいつかは「働かないおじさん」になる可能性があるということです。 このことは、この話をする上で非常に重要な前提だと思っています。

 株式会社識学「“働かないおじさん”に関する調査」の調査では、働かない原因として、意欲がない、給与が上がらない、任されない、という項目が上位に上がるのですが、おもしろいのは、自分が働かなくなるとしたら、原因は何かという問いでは、ぶっちぎりで成果が給与に反映されないが1位になるということです。 最初の問いかけは、どちらかというと、他人に対する分析であり、後者は自己分析になるかと思いますが、自分事として考えれば、実は原因ははっきりしてくると思います。 そうなんです、「成果が給与に反映されない」と感じると、人はやる気を失うのです。 では、退職まで永続的に成果を給与に反映させる仕組みをつくればよいかというと、それでは会社側が困ってしまうことになるのです。 仮に30代の社員と50代の社員が同様の能力で同様のパフォーマンスを持っているとしたら、どちらに仕事を頼むでしょうか? おそらく将来的により長くパフォーマンスを発揮してくれる30代に仕事を頼むのではないでしょうか? その仕事が重要であればあるほど、可能な限り、残りの在職期間が長い社員ほど、会社への貢献度の総量が大きくなる可能性が高いからです。 仮に、中高年でも成果に連動した昇給の体制を整えたとしても、成果を上げるチャンスが回ってこなくなるということになるのです。 これが、働かないおじさんを生む大きな原因だと思っているのですが、皆さんはどのように考えるでしょうか?

で、どうすればよいかということですが、 定年延長や定年廃止すればよいかと思うかもしれませんが、実は少し的外れです。 そのような施策をとっても、若い人の残された時間差は変わりません。 そうではなく、在職年数の限りのある会社での仕事ではなく、その先の将来の希望のために働ける環境が、在職中にあれば、おじさんたちはまだまだ働く意欲を持つことができるのではないでしょうか? ヒントは、在職中にやる気を失っても、転職先が決まればまたやる気がでてくるのと同じです。 おじさんたちは成果に対する評価ではなくて、”報酬”を求めているのです。 ここでいう報酬はお金とは限りません。 自分の将来を豊かにするものであれば、お金でなくてもよいのです。 

Flyingray Consulting Serviceではそういう仕組みづくりのお手伝いをさせていただきますので、是非ご相談ください。